|
GeneChipの製造には半導体産業由来の技術が応用されており、5インチ角の石英ウェハーを用いて製造を開始します。まず最初に、石英表面全体がヒドロキシル化(水酸化)されるよう洗浄します。石英表面は自然にヒドロキシル化されるため、リンカーのような化学物質を付加するには最適の基盤となります。このリンカーは、アレイ上にプローブを保持するために使用されます。
次に、シランのバス内にウエハーを置き、シランが石英のヒドロキシル基と反応し、分子が共有結合したマトリクスを形成します。これらのシラン分子間の距離によってプローブの密度が決定され、わずか1.28平方センチのアレイに500,000以上のプローブ区画を搭載可能にします。こうした各々の区画には、数百万の同一のDNA分子が結合しています。このシラン膜が均一なヒドロキシル基密度を提供し、プローブの合成が開始されます。こうしてシランマトリクスに結合したリンカー分子は、光によって空間的に活性化される反応面を提供します。
プローブ合成はパラレルに行なわれ、複数の伸長する鎖は同時にA, C, T, Gヌクレオチドモノマーが付加されます。各ステップで、A, C, T, Gヌクレオチドがどのオリゴヌクレオチド鎖にカップリングするかを決定するために、コーティングしたウェハーの上にフォトリソグラフィックマスクをセットします。このマスクにはそれぞれのプローブセルサイズに対応した18~20ミクロン四方のウィンドウがあります。このウィンドウは各プローブに対応する塩基配列に基づき、マスク上に分布しています(詳細については、プローブ選択とアレイデザイン参照)。合成の第一ステップで、マスクを使用して紫外線を照射すると、露出したリンカーの保護基が脱保護され、ヌクレオチドのカップリング反応が可能となります。このステップでの重要なポイントは、各合成ステップ前にマスクをウェハーに正確に配置しておくことです。この重要なステップが確実に実行されるように、マスクとウェハー上のクロムマークを正確に合わせます。
合成したいプローブセルが活性化された後、脱保護可能な保護基で修飾されたデオキシヌクレオチドのうちのいずれか1種類を含む溶液を、ウェハー表面に注入します。活性化したリンカーにヌクレオチドが結合し、合成プロセスが開始されます。
このプロセスは非常に効率的ではありますが、一部の活性化された分子が新しいヌクレオチドを結合しない場合があります。こうしたケースでは、ヌクレオチドが欠損したプローブにならないように、重合を終わらせるためのキャッピングのステップが行われます。さらに、分岐したオリゴヌクレオチドの形成を防止するため、ヌクレオチドの側鎖も保護されます。
次の合成ステップでは、次のラウンドの脱保護とカップリング反応を行うために、別のマスクをウェハー上に合わせます。このプロセスは、プローブが通常25塩基である全長に達するまで繰り返されます。
オリゴヌクレオチド配列の各ポジションは4個のヌクレオチドの内1個が占有可能であり、その結果、ウェハーごとに異なるマスクが25×4すなわち100個必要になりますが、合成プロセスは、必要なマスク数を極力減らすようにデザインされています。マスクの使用数が最小限となるようなアルゴリズムで、個々のプローブの合成速度を調整することによって、最も調和の取れたプローブ伸長方法を計算し、同じマスクが複数回利用できる状況を判断します。
合成が完了後は、ウェハーを脱保護・切断し、得られた個々のアレイをフローセルカートリッジにパッケージします。各アレイのプローブセル数に応じて、1枚のウェハーからアレイ49~400枚が製造されます。
この製造プロセスは、一連の品質管理テストが行われて終了します。さらに、各ウェハーからアレイをサンプリングし、これを用いて品質管理用ハイブリダイゼーションを実施することで、製造バッチごとのテストが行われます。ハイブリダイゼーションの定量性テストも、標準化されたコントロールプローブを用いて行われます。
GeneChipプローブアレイは、これらの厳しいテストに合格したもののみが出荷されるので、基礎的な生物メカニズムの探究から新規の疾病治療法の開発まで、多種多様な分野の新しいゴールの追求に役立つことができるのです。
|